当院では糖尿病網膜症、網膜裂孔、網膜静脈閉塞、網膜細動脈瘤、中心性しょう液性網脈絡膜症などの眼底疾患、急性緑内障発作やその他の緑内障に対して、マルチカラーレーザー装置を用いてレーザー治療を行っております。 また後発白内障に対してはYAGレーザー装置を用いて治療を行います。
糖尿病は全身の細かい血管が徐々に詰まっていく病気です。網膜症が進んでくると網膜の広い範囲で血管が詰まり、酸素が行き渡らなくなり、その状態を放置しておくと新生血管(通常は存在しない悪い血管で出血しやすい)が発生してきます。新生血管の存在により目の中で出血を繰り返したリ(硝子体出血)、緑内障や網膜剥離を引き起こしてきます。 そのため網膜の虚血部分にレーザー光線を照射して、低酸素の状態を改善し網膜浮腫の軽減、新生血管の発生を予防します。 この治療は将来失明を防ぐため非常に有効な治療ではありますが、詰まった血管をもとに戻す治療ではありません。 一部の網膜を犠牲にして全ての網膜がだめになるのを防ぎます。 レーザー後は多少視力や視野、色覚が低下する事がありますが、長期的にみた場合にはレーザー治療を適切な時期に受けられた方は失明を防ぐ事が出来ます。
網膜に穴が開く病気です。原因はいろいろですが、高度近視があると網膜が薄く弱いので網膜に変性巣があると穴が開きやすく、その他外傷や後部硝子体剥離といって60歳前後で起こる事が多いですが、硝子体の変化に伴って網膜に穴が開くこともあります。このような現象が起こると初期症状として蚊が飛んでいるような症状や、光が走る等の 症状が出現し、放置しておくと穴から網膜の下に水が回って網膜剥離になることがあります。 そのため、網膜剥離が生じる前にレーザー光線で裂孔の周囲を焼き固め剥離を防止します。
高血圧、動脈硬化、糖尿病といった全身疾患を基礎疾患とした方が生じる事が多く、網膜の静脈が詰まってしまう病気です。閉塞の場所、範囲により視力への影響は異なりますが、虚血網膜が広範囲な場合は、しばらく経過観察の後レーザー治療が必要な場合があります。
60歳以上で高血圧の既往を持つ方が多いですが、網膜の血管にこぶが出来た状態です。こぶの部分は血管としては欠陥があり水漏れを起こしたりします。ほとんどの場合経過観察で問題ありませんが、こぶの出来た場所や状態によって視力に悪影響を及ぼす可能性のある場合は、こぶにレーザー光線を当てて焼いてしまうことにより水漏れを治します。
原因は不明ですが30~40代の働き盛りの男性でストレスがかかっている人に多いと言われており、これは網膜の後ろにある脈絡膜という部分が傷みそこから水が入ってきて水がたまり腫れる病気です。中心が歪んで見えたり、物が小さく見えたり、色が変わって見えたりします。レーザーでその網膜の痛んだ部分を焼き水の漏れを防ぎます。ただし傷んだ部分というのは網膜の中心部分に多く、かなり中心に近いとレーザーにより視力が下がってしまいますのでレーザーでの治療はしません。
6. 急性緑内障発作、閉塞偶角緑内障
目の中には水(房水)が入っていて、絶えず水は生産されて、排出されて行くという循環を繰り返しています。 そのお水の出口が狭く、一瞬でお水の出口が塞がってしまう事があります。そうすると、水が目の中でどんどん溜まっていきパンパンになり、眼圧が急に上がって目がカチカチの状態となってしまいます。こうなると目の激痛、頭痛、視力低下等の症状が生じ、これを急性緑内障発作と呼びます。こうした発作を起こす前にレーザー光線で虹彩(茶目の部分)に小さな穴を開けてバイパスを作ってやり、発作が起こるのを予防します。
白内障の術後に、眼内レンズを入れている袋が濁って再び見にくくなる事があり、後発白内障と呼んでいます。 YAGレーザーで濁った袋に切開を入れて治します。